ちいきしんぶん掲載記事

気づかない「慢性炎症」にご用心

炎症は「炎」という字から連想されるように、体のどこかで火事が起きている状態に例えられます。炎症は体の防衛反応でもありますので、一時的に強い症状がでてもすぐにおさまれば良いのです。風邪、化膿、急性胃腸炎などがその例です。しかしそれらが長期化して、じわじわと血管や細胞がダメージを受けていたり、アレルギーや自己免疫疾患などで炎症状態が続いてしまうと大変です。くすぶっている火が何かのきっかけで大火事になるように、慢性炎症があると過剰な免疫反応がおこり、感染症では重症化のリスクとなります。さらに、ダメージを受け続けた血管や組織は硬くなり、動脈硬化や機能障害のリスクにもなります。

漢方では急性期は速やかに炎症を抑えることを優先します。慢性期では炎症の原因に対応するとともに、血管を守る製剤を使用することもあります。また、長期の闘病や投薬によって消耗していることも多いので、内臓機能や造血機能のサポートが必要な場合もあります。そのような漢方薬を併用すると、病院治療の効率も良くなるのではないかと考えます。

食生活も大事です。油っぽいもの、甘いもの、味の濃いものは炎症反応を助長します。体が熱くなるような辛いものもおすすめしません。「肥甘厚味:ひかんこうみ」をなるべく避けて、自分で炎症の体質を作らないようにしましょう。

(2023.5 ちいきしんぶん掲載記事)